―金の斧―






ある日、木こりが誤って斧を泉に落としてしまいました。
しばらく木こりがその場で呆然としていると、なんと泉から綺麗な女性が現れたではありませんか。
彼女の格好はまるで神話の中に出てくる女神のようです。
彼女の手には木こりが落としたのとは違うまばゆいまでの金銀の斧が握られていました。
しばらくして彼女は

「あなたが落としたのはこの金の斧ですか?それともこの銀の斧ですか?」
どこかで聞いたような話を木こりに問いかけます。

「いえ、私が落としたのは普通の鉄の斧です」
木こりは正直に答えました。

「まあ、なんと正直な人でしょう、あなたの正直さに感動しました。この金の斧と銀の斧もあなたに差し上げましょう」
木こりはその女性から金の斧、銀の斧、鉄の斧を受け取り、幸福そうな表情を浮かべて泉を後にします。

しばらくいったところで、木こりの知り合いらしい男が声をかけました。

「よう、どうだった?」
「上手くいったよ」
「だから言っただろ?ここの女神はちょろいんだ。…じゃあ次は隣山の泉に行くとしようか」
二人はスキップするような足取りで森の奥へと消えていきました。




………
これは、ずる賢い悪人も結構いるものだというお話。





















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